メニュー

健康寿命と骨粗しょう症の考え方

[2021.02.12]

フレイル、サルコペニア、ロコモ…  本格的な高齢化社会を迎え、この頃いろいろな新しい言葉が出てきました。

今日はそれらの言葉の意味を整理しつつ、「骨粗しょう症」について考えてみたいと思います。

 

 

まず「フレイル(虚弱)」について。

厚生労働省研究班によれば

「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」

と定義されていて、

簡単に言うと「衰えがみえはじめたけれど、努力で後戻りできる状態」です!!

Freidの基準では、

  1. 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
  3. 歩行速度の低下
  4. 握力の低下
  5. 身体活動量の低下
この5項目があり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。
 
 
もし思い当たる方は、
OK早めに対処の行動をとることが大切です。
 
その方法も説明しますね。
 
 
 
 
次に「サルコペニア」。
加齢性筋肉減弱現象のことで、文字通り、加齢に伴い筋肉が減ることです。
 
 
 
次に「ロコモ」。ロコモティブシンドロームの略です。
これは、日本整形外科学会が提唱した概念で、
「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」です。
 
 
以下の図は、平成25年の介護が必要になった原因を示したグラフです。
ここからわかるように、骨折・転倒、関節疾患によって「動けない」状態になることで、介護が必要になった方がかなりいます。
 
 
 
 
 
 
いろいろな概念が提唱されていますが、一部は重複していて、何はともあれ
 
OK健康寿命を延ばすためには、運動器(歩くのに必要な骨や筋肉など)を健康に保つことがとても大切なのです。
 
そのためには、どのようなことをしたら良いのでしょうか?
 
 
 
目標)骨を強く保つ、筋肉を強く保つ
 
手段)1.運動をする  2.食生活を見直す  3.骨粗しょう症の治療をする
 
です。
 
 
 
まずは運動です。
骨も筋肉も、ある程度の負荷がかかることで、作り直す機能が刺激されるからです。
 
おすすめは、
OK「ゆっくりな運動」が基本です。
 
・ウォーキング
・ゆっくりの階段昇降
・器具を使った筋トレ
・登山
・太極拳
 
などが良いでしょう。
 
一方で、これまでもずっと続けていて慣れているのなら良いですが、
 
・ランニング(着地時の強い衝撃)
・テニス(急発進、急停止、上体のねじり)
 
などは瞬間的に強い体重がかかる運動のため、注意が必要です。
 
 
腰や股関節、膝などの痛みが出た時に病院で「運動してください」と言われ、激しい運動を頑張る方がいらっしゃいます。
 
「凝り固まったら困る」 「筋をのばして治す」 「筋肉を鍛えれば痛みは取れる」というイメージがあるようです。
 
 
一部は正解ですが、この考え方は注意壊れ始めた関節を傷つけるおそれがあります。
 
なぜなら、筋肉や骨と違い、軟膏はほとんど再生しないからです。
 
若いアスリートの故障と違い、中高年の方の運動器トラブルは骨や筋肉以上に、関節やそのまわりの構造がすでに傷んでいることが多いです。
鍛えて治す」のではなく、「もう戻らない部分は仕方がないけれど、大切に使う」という考え方がよいと思います。
 
すでに関節の痛みが出ている方は、「痛いがゆえに運動ができない」こともあります。
このような場合、
 
OK「水中トレーニング」がおすすめです。
 
浮力が働き、陸上よりマイルドなトレーニングができます。
ついでに泳げば、心肺機能も向上します。
 
 
 
2点目は、食生活を見直す です。
骨を作る材料になる「カルシウム」、その吸収をよくする「ビタミンD」、筋肉を作る「タンパク質」をきちんと摂りましょう。
年齢を重ねるにつれてお買い物の頻度が減り、
野菜やお肉をあまり買わずにうどんやそうめん、ご飯などの日持ちする炭水化物を食べる比率が高いご家庭を見かけます。
 
 
カルシウムは、乳製品、骨ごと食べられる食材(小魚、魚缶など)、野菜(パセリ、カブの葉)から、
ビタミンDは乳製品、キノコ類、魚(いわし、ぶり、サンマ、鮭、かつおなど)に多く含まれます。
 
太りたくないから、とお肉を食べず植物性タンパク(大豆など)を中心に食べる方がいらっしゃいますが、
体に必要なタンパク質を同量摂ろうとすると植物性ではかなりの量を必要とし、調理に必要な油や調味料をふくめ
結構な高カロリーになることがあるので注意が必要です。
 
OK乳製品と魚を一緒に食べられる、洋風煮込みなどがおすすめです。
キノコも合いますね。
 
また、ビタミンDをふやすため日光を浴びなくては、という方がおられ、確かに太陽光に含まれる紫外線はビタミンDの合成を促すのですが、
バランスのよい食生活で通常の日常生活を送っていれば(昼夜逆転や家にひたすらこもるなどは例外です)ビタミンDは不足しない、と言われていますので、無理して日光浴をしなくてもよいです。
なにより「紫外線による肌老化」という大きな損失を考えると、食事からビタミンDを摂る方がよいのではないかと私は思います。
 
ちなみに、魚などの軟骨から作ったサプリメントなどがありますが、口から入った軟骨の成分はいったん体に吸収されます。
魚の軟骨がそのまま人間の膝になる、ということはありません。
軟骨は基本的にほとんど再生しませんし、骨になるとして仮に材料となり不足を補うことができるとしても、
加齢により、作る工場の作用が落ちていることこそが問題だからです。
 
 
追加ですが、
OK「太りすぎない」ことも大切です。
太ると体重だけで関節に大きな負荷がかかり、運動に伴って関節を壊すリスクもあがります。
 
定期的な運動を続け、筋肉のついたしなやかな体を目指したいですね。キラキラ
 
 
 
最後になりますが、骨粗しょう症の早期治療を受けましょう。
骨粗しょう症かどうかを知るために、レントゲンで腰の骨の様子を見たり、骨密度を図るのが一般的です。
 
こちらの図を見ていただくとわかるように、加齢に伴って誰しも骨量は減ってゆきます。
若い頃のピークは人それぞれであり、若いころに痩せていたり、運動をあまりしなかった方はピークの値も低いと思われるため、
より一層の注意が必要です。
 
特に女性については、私は「への字」とお伝えしているのですが、閉経後にがくっと減ります。
これは女性ホルモンが骨の代謝に関わっているからです。
 
 
病院で骨粗しょう症の検査をすると、
 
・骨密度
・全年齢の同性の人と比べた値
・同年代の同性の人と比べた値
 
が示された紙がかえってきます。骨密度が同年代の方と比べても低い場合は、積極的な治療をおすすめします。
 
治療には、
 
・注射薬
・内服薬
 
があります。
骨の代謝のメカニズムは複雑なので
骨を作る働き、骨を壊す働きのバランスを整えていくことが治療の戦略です。
 
そして繰り返しになりますが、運動で骨や筋肉を作る指令を刺激すること、食事で骨や筋肉の材料を供給することがまず大切です。
 
まず1剤で始めてみて、医師によって効果不十分と判断された場合は、別の種類の薬を提案します。
別の種類の薬であれば作用のしくみが違いますので、併用することにも意義があります。
費用との相談になりますが、健康は大切な自己投資と考える方も多いです。
 
 
今回のお話が、皆さまの健康寿命を延ばすことにつながれば嬉しいかぎりです。晴れ
 
薬袋整形外科
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME